隠れ貧血とは?健診で「貧血なし」でも疲れが抜けない理由

しっかり寝たはずなのに、朝から体が重い。階段を上がるだけで息が切れる。夕方になると、もう何もしたくない。健診では「貧血なし」と言われたのに、どうしてこんなに疲れるのだろう。そんなふうに感じていませんか。
その疲れには、「隠れ貧血」が関係しているかもしれません。隠れ貧血とは、貧血と診断される一歩手前の鉄不足のことです。健診で調べるヘモグロビンの値は正常なのに、体の中の鉄の貯えは減っている。そんな状態は、生理(月経)のある世代の女性にとって、決して珍しいものではありません。
しかも、ふつうの健診では、この「鉄の貯え」を映す検査は、標準の項目に入っていません。「貧血なし」と言われても、鉄が足りているとは限らないのです。
今回は、隠れ貧血の基本をやさしく整理します。章の終わりには、30秒でできる「思い込み」のセルフチェックも用意しました。
| 知りたいこと | この章の答え |
|---|---|
| 隠れ貧血って何? | 貧血の一歩手前の鉄不足(通称で、まだ貧血ではない) |
| なぜ健診で見逃されやすいの? | 健診で調べるのは主にヘモグロビン。鉄の貯えを映すフェリチンは、標準の項目に入っていない |
| どんなサインがあるの? | 疲れ、息切れ、氷を無性にかじりたくなる、など。ただし、鉄不足だけのサインではない |
| どんな人に多いの? | 生理のある女性、とくに量が多い方。妊娠中や産後の方 |
| 疲れは全部、鉄のせい? | そうとは限らない。決めつけずに確かめることが大切 |
| 健診で「要再検査」と書かれていたら? | 放っておかずに受診を。くわしくは【ポイント1】で |
隠れ貧血は「貧血の一歩手前」の鉄不足 — 鉄の貯金が減っても、健診の数字は正常のまま
言葉を3つ、整理しておきます。
- 貧血:血液の中で酸素を運ぶ「ヘモグロビン」が少なくなった状態
- 鉄欠乏性貧血:鉄が足りないために起こる貧血。女性の貧血で、いちばん多いタイプ
- 隠れ貧血:ヘモグロビンは正常なのに、体の中の鉄の貯えが減っている状態。通称で、医学的には「貧血のない鉄欠乏」と呼ばれる
つまり隠れ貧血は、名前に「貧血」とついていますが、まだ貧血ではありません。貧血の一歩手前にある、鉄不足の段階です。
わかりやすくするために、お財布と貯金にたとえてみますね。ヘモグロビンは、お財布に入っている現金で、いま体が使っている鉄です。それに対して、体の中には「いざというとき」のために貯えている鉄があります。こちらが銀行の貯金で、その残高を映す検査が「フェリチン」です。この記事では、この貯金のことを「鉄の貯え」とも呼びます。
出費がかさんで収入が追いつかないとき、私たちはどうするでしょうか。貯金を取り崩して、お財布の中身を保とうとしますよね。体も同じです。鉄が足りなくなると、体は先に貯金を取り崩して、ヘモグロビンを保とうとします。
| 段階 | 鉄の貯金(フェリチン) | お財布(ヘモグロビン) | 健診の結果 |
|---|---|---|---|
| 鉄が足りている | 十分にある | 正常 | 貧血なし |
| 隠れ貧血 | 減っている | 正常 | 貧血なし |
| 鉄欠乏性貧血 | とても少ない | 低い | 貧血あり |
表の真ん中を見てください。貯金が減っていても、お財布の中身が保たれているあいだは、健診の結果は「貧血なし」のままです。
一般的な健診が見ているのは、主にお財布のほう。貯金の残高までは、のぞいていません。だから、「健診では異常なしなのに、鉄は足りていない」ことが起こるのです。くわしくは、【ポイント1】でお話ししますね。
「貧血ではないなら、問題ないのでは?」と思われるかもしれません。ところが、鉄は酸素を運ぶだけでなく、体がエネルギーをつくるときにも使われています。そのため、貯えが減ってくると、貧血になる前の段階から、疲れやすさにつながることがあるのです。実際に、鉄不足が確かめられた女性が鉄を補うと、疲れが軽くなったという報告もあります。
では、隠れ貧血を含む鉄不足は、どのくらい身近なのでしょうか。2009年の国の調査では、20代から40代の女性のおよそ5人に1人が、貧血の目安であるヘモグロビン12g/dL未満でした。鉄の貯えが少ない人は、それよりさらに多くいました。少し前のデータではありますが、鉄不足が女性にとって身近な問題であることがわかります。
20代でも30代でも、生理がある限り、だれにでも起こりうることです。「私はまだ若いから大丈夫」は、鉄に関しては当てはまりません。
とくに気をつけたいのは、次のような方です。
- 生理のある女性。なかでも、生理の量が多い方
- 妊娠中の方、産後の方
- 食事の量を減らすダイエットをしている方
- 献血をよくする方、激しいスポーツを続けている方
どれも「鉄の出費が多い」か「鉄の収入が少ない」状態です。生理・食事・妊娠と出産の話は、【ポイント2】でくわしくお話しします。仕事に育児にと走り回っているあなたは、自分の食事が後回しになっていませんか。
ここまでのポイント
- 隠れ貧血は、貧血の一歩手前の鉄不足(通称)。お財布(ヘモグロビン)は正常でも、貯金(鉄の貯え)が減っている
- 貯金が減ると、貧血になる前から疲れやすくなることがある
- 生理のある女性、妊娠中や産後の方、ダイエット中の方は、とくに気をつけたい
氷を無性にかじりたくなるのもサイン? — 疲れ・息切れ・氷食症は相談のきっかけ
とはいえ、氷だけで判断するのは禁物です。よくある思い込みを整理しておきますね。
| よくある思い込み | 本当のところ |
|---|---|
| 氷を食べたくなるなら、鉄不足に違いない | 鉄が足りている人にも見られる。決め手にはならない |
| 氷を食べたくならないから、私は大丈夫 | 鉄不足があっても、氷を食べたくならない人のほうが多い |
| 氷なら体に悪くないから、放っておいていい | 歯を傷めることもある。我慢するより、原因を確かめるほうが近道 |
氷食症は、診断の決め手ではなく、「一度相談してみようかな」と思うきっかけです。ほかにも、相談のきっかけになるサインがあります。
| サイン | たとえばこんな場面 |
|---|---|
| 疲れやすい、だるい | しっかり寝ても、朝から体が重い。夕方には何もしたくなくなる |
| 息切れ、動悸 | 駅の階段や、子どもを抱っこして歩くだけで息が上がる |
| 朝、起きるのがつらい | 目覚ましを何度も止めてしまう |
| 集中が続かない | 仕事のミスが増えた。資料の内容が頭に入ってこない |
| 氷を無性にかじりたくなる | 飲み物の氷を全部食べてしまう。冷凍庫の氷をそのまま食べる |
| 足がむずむずして眠れない | 夜、じっとしていると、足を動かしたくてたまらなくなる |
やっかいなのは、鉄不足が少しずつ進むことです。体がその状態に慣れてしまって、「これが私のふつう」と思い込んでいる方が少なくありません。治療を始めてから、「私、こんなに疲れていたんですね」と驚かれることも、よくあります。
ここで、ひとつ大事なことをお伝えします。これらのサインは、鉄不足だけのものではありません。睡眠不足、甲状腺の病気、心の不調、かぜなどの感染症のあとでも、同じような症状が出ます。「疲れているから、きっと鉄不足だ」と決めつけるのも、「年のせい、気合いが足りないだけ」と片づけるのも、早合点です。ほかの原因については、【ポイント1】の表で整理しています。
疲れが続いている。生理の量が多い。妊娠中、あるいは産後である。こうしたことに当てはまる方、とくにいくつか重なっている方は、「鉄の貯えも関係しますか」と相談してみましょう。あなたの場合は、疲れに加えて氷のこともありますから、一度確かめてみるといいですね。
急いで受診したいサインもあります。次のようなときは、様子を見ずに、早めに受診してください。
- 胸が痛む
- じっとしていても息苦しい
- 気を失いそうになる
- 出血が多い
- 黒くてタールのような便が出る
ここまでのポイント
- 氷を無性にかじりたくなる「氷食症」は、鉄不足と関係がある。ただし、氷だけでは決められない
- 疲れや息切れなども、相談のきっかけになる。鉄不足だけのサインではないので、決めつけずに確かめる
【30秒セルフチェック】隠れ貧血と鉄不足の「思い込み」、いくつ当てはまる?
□ 1. 健診で「貧血なし」と言われたら、鉄は足りていると思う
□ 2. 疲れが抜けないのは、年齢や体力、気合いの問題だと思う
□ 3. フェリチンの数字は、高ければ高いほどいいと思う
□ 4. 生理の量が多いのは体質だから、仕方がないと思う
□ 5. 産後の貧血は、1か月健診のときに調べれば十分だと思う
□ 6. 鉄は、サプリでたくさんとるほど元気になれると思う
□ 7. 鉄をとるなら、とにかくレバーをたくさん食べればいいと思う
当てはまった数で、いまのあなたの「鉄の見方」の目安がわかります。
| 当てはまった数 | いまのあなた |
|---|---|
| 0〜2個 | 鉄について、バランスよく理解できています |
| 3〜4個 | 少し前の「常識」や、ネットの情報に引っぱられているかもしれません |
| 5個以上 | 鉄についての思い込みが多めです。でも、知れば変えられます |
これは診断のためのテストではなく、鉄不足かどうかを調べるものでもありません。よくある思い込みに気づくための目安です。数が多くても少なくても、気になる症状があるときは相談してください。
実は、7つの項目はどれも、この記事の中で答え合わせができます。当てはまった項目の番号を、下の表で探してみてください。その章から読むと、答えがすぐに見つかります。
| 項目 | 答え合わせができる章 |
|---|---|
| 1・2・3 | 【ポイント1】健診でわかること・わからないこと、フェリチンの見方、疲れのほかの原因 |
| 4・5 | 【ポイント2】生理と鉄、妊娠・出産と鉄、産後に気をつけたいこと |
| 6・7 | 【ポイント3】食事のコツ、飲み薬や点滴とのつきあい方 |
| 全体のおさらい | まとめ(サプリ、黒い便、レバーが苦手なときなどの「よくある質問」) |
いくつ当てはまりましたか? 7つの中には、「足りているはず」という思い込みもあれば、「とればとるほどいい」という逆向きのものもあります。当てはまった数が多い方ほど、この先で「えっ、そうだったの?」という発見がたくさんあるはずです。肩の力を抜いて、気になる章から読み進めてみてください。

【ポイント1】健診の「貧血なし」は、「鉄不足なし」という意味ではない
健診の結果が返ってきて、「貧血なし」「異常なし」の文字を見ると、ほっとしますよね。けれども、結果表をよく見てください。貧血の欄に並んでいるのは、ヘモグロビンや赤血球の数など。鉄の貯金の残高までは、書かれていないことがほとんどです。
総合判定が「A」や「異常なし」でも、それは「調べた項目には問題がなかった」という意味です。測っていない項目のことまでは、わかりません。
健診の「貧血なし」でわかるのは、お財布の中身が足りていることまでです。貯金が十分にあるかどうかは、わかりません。一方で、フェリチンさえ測れば安心、というわけでもありません。疲れの原因が、鉄とは別のところにあることもよくあります。
| 気になること | この章の答え |
|---|---|
| 健診では何を調べているの? | 主にヘモグロビン。鉄の貯えを映すフェリチンは、標準の項目に入っていない |
| 健診では絶対にわからない? | そうとも限らない。人間ドックなどで、追加できる場合もある |
| フェリチンを測れば安心? | 万能ではない。炎症があるときや産後まもない時期は、実際より高く出る |
| フェリチンはいくつあればいいの? | 目安の数字は、目的によって違う。「高いほどいい」わけでもない |
| 疲れの原因は鉄不足? | そうとは限らない。甲状腺、睡眠、心の不調なども一緒に確かめる |
ひと言でいうと、数字ひとつで決めつけず、症状や暮らしと合わせて確かめる、ということです。
健診で測るのはヘモグロビン — 鉄の貯金「フェリチン」は標準の項目に入っていない
手元に健診の結果表があれば、開きながら読んでみてください。ひと口に「健診」といっても、種類によって、貧血について調べている内容は違います。
| 健診の種類 | 貧血に関係する検査 | 知っておきたいこと |
|---|---|---|
| 職場の定期健診 | ヘモグロビン(結果表では「血色素量」と書かれることも)と、赤血球の数 | フェリチンは標準の項目ではない。年齢などの条件によっては、貧血の検査そのものが省かれることもある |
| 40歳からの特定健診 | 貧血の検査は、必要と判断された人だけが受ける「くわしい項目」の扱い | 受けた全員が、貧血を調べているわけではない |
| 人間ドックや追加の検査 | 施設によっては、フェリチンを追加できる | 「健診では絶対に調べられない」というわけではない |
結果表では、貧血に関係する項目が、次のような名前で並んでいます。
- 血色素量(ヘモグロビン、Hb):赤血球の中で酸素を運ぶ成分の量。貧血かどうかの目安になる
- 赤血球数(RBC):血液の中の赤血球の数
- ヘマトクリット(Ht):血液全体のうち、赤血球が占める割合
- フェリチン:鉄の貯えを映す検査。ふつうの健診の結果表には載っていない
健診は、多くの人に共通する病気を、限られた項目で効率よく見つけるためのしくみです。あらゆる検査を盛り込むことはできません。フェリチンが入っていないのは、「大事ではないから」ではなく、健診の役割が違うからです。
つまり、「健診を受けた」と「鉄の状態まで調べた」は、同じではありません。それどころか、「ヘモグロビンさえ調べていなかった」ということも、ありうるのです。
ヘモグロビンは、貧血かどうかを知るための大切な検査です。妊娠していない大人の女性では、12g/dL未満が貧血の目安になります。妊娠中は血液が薄まる影響があるため、目安が少し低く設定されています。
「基準の範囲内」にも、幅があります。同じ「貧血なし」でも、基準をぎりぎり上回っている方と、余裕のある方とでは、事情が違うかもしれません。数年前より下がってきている場合も同じです。結果表の判定だけでなく、数字そのものにも目を向けてみてください。
ただ、ヘモグロビンでわかるのは、「いま貧血かどうか」までです。冒頭の章のたとえでいえば、お財布の中身です。貯金の残高はわかりません。貧血が見つかった場合でも、その原因が鉄不足なのかどうかは、ヘモグロビンだけでは決められません。
flowchart TD
A["健診の結果表を
手元に用意する"] --> B["ヘモグロビンの
欄はある?"]
B --> C["欄がない
貧血の検査は
受けていない"]
B --> D["欄がある
数字を確かめる"]
D --> E["基準より低い
受診して原因を
確かめる"]
D --> F["基準の範囲内でも
安心とは
限らない"]
F --> G["疲れが続く
生理の量が多い
妊娠中や産後"]
C --> H["鉄の貯えも
関係するか相談"]
G --> H
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class A start
class B,D ask
class E warn
class C,F,G keep
class H goal
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健診で「貧血の疑い」「要再検査」「要精密検査」と書かれていた方へ。 忙しくて、そのままにしていませんか。貧血は、体からの大事なお知らせです。その裏には、生理の量が多いことなど、確かめておきたい原因が隠れていることがあります。結果表を持って、生理の量が気になる方は婦人科へ、そうでなければかかりつけの内科へ。次の休みに、予約だけでも入れてみてください。
【答え合わせ】セルフチェックの項目1
「健診で『貧血なし』と言われたら、鉄は足りている」は、思い込みでした。健診の結果は、「少なくともいまは貧血ではない」と教えてくれる、ありがたい情報です。ただ、それ以上のことまでは語っていません。
今日から使えるヒント
- 手元の健診結果を開いて、「ヘモグロビン」か「血色素量」の欄があるかを確かめる
- 数年分の結果があれば、並べてみる。基準の範囲内でも、年々下がってきているなら、相談のときに伝える価値がある
- 次の健診や人間ドックで、フェリチンを追加できるかどうかを、申し込みのときに聞いてみる。追加の検査は費用が別にかかることが多いので、あわせて確かめておく
フェリチンも万能ではない — 炎症や産後は高く出るので、数字ひとつで決めない
それなら、フェリチンを測れば全部わかるのでしょうか。残念ながら、そう単純ではありません。フェリチンは、低いときは信用できるけれど、正常や高めのときは、それだけでは安心できない。そんなクセのある検査です。
フェリチンは、体の中で鉄をためておく役目のたんぱく質です。血液の中にも少しだけ流れていて、その量を測ると、鉄の貯金の残高がおおよそわかります。低ければ、鉄不足の有力な手がかりになります。
ところが、フェリチンには弱点があります。鉄とは関係のない理由で、数字が上がってしまうことがあるのです。
| こんなとき | フェリチンはどうなる? | だから |
|---|---|---|
| かぜなどの感染症や、体のどこかに炎症があるとき | 実際の貯えより、高く出る | 正常に見えても、鉄不足が隠れていることがある |
| 肝臓の病気や、肥満があるとき | 高く出ることがある | ほかの検査と合わせて判断する |
| 出産してまもない時期 | 出産に伴う炎症で、高く出る | この時期は、フェリチンだけで決めない(産後の貧血の確かめ方は【ポイント2】で) |
| 鉄の点滴を受けたばかりのとき | 一時的に高くなる | その数字だけで「もう足りた」と決めない |
検査そのものは、ふつうの採血で調べられます。特別な準備はいりません。フェリチンが低いと言われたときにどうすればよいかは、【ポイント3】でくわしくお話しします。
もうひとつ、よく聞かれるのが、「フェリチンはいくつあればいいんですか」という質問です。ネットで調べると、いろいろな数字が出てきて、混乱してしまいますよね。
| よく見かける数字 | 本当の意味 |
|---|---|
| 15未満 | 世界保健機関(WHO)が、健康な大人の鉄不足の基準としている数字 |
| 30未満 | 診療の場で、「鉄の貯えが少ない」と判断する目安として使われることがある数字 |
| 50未満 | 疲れと鉄の関係を調べるときに、「鉄が少なめの人」を選ぶ線として使われた数字。「50以上が健康の条件」という意味ではない |
| 100以上が理想 | ネットでよく見かけるが、公的な指針に、そうした一律の目標は見当たらない |
※結果表の単位は「ng/mL」のことも「μg/L」のこともありますが、同じ大きさの数字なので、そのまま読んで大丈夫です。
数字は、「何のために使うのか」によって違います。ひとつの数字だけを取り出して、「私は◯◯未満だから鉄不足」「◯◯以上だから大丈夫」と決めることはできません。
だからこそ、フェリチンの結果は、それだけで判断せず、症状や暮らし、ほかの検査と合わせて読みます。必要に応じて、体に炎症がないかを見る検査や、血液の中を流れている鉄の量を見る検査を組み合わせることもあります。
では、どんなときにフェリチンを調べる意味があるのでしょうか。生理のある女性全員が、毎年調べるべきだという決まりはありません。次のようなことが当てはまる方は、調べるかどうかを相談してみましょう。
- 疲れや息切れが続いていて、理由が思い当たらない
- 生理の量が多い。生理が長く続く
- 妊娠を考えている。妊娠中、あるいは産後である
- 食事の量を減らしている。肉や魚をほとんど食べない
- 献血をよくしている
数字の読み方は、ひとりで悩むより、検査を受けたところで聞くのがいちばんです。
【答え合わせ】セルフチェックの項目3
「フェリチンの数字は、高ければ高いほどいい」も、思い込みです。フェリチンが高いときは、炎症や肝臓の病気のサインのこともあります。鉄は、とりすぎても体の負担になります。目指すのは「高い数字」ではなく、「自分の体にとって足りている状態」です。
今日から使えるヒント
- 検査を受けるなら、体調のよいときに。かぜをひいた直後などは、フェリチンが高めに出ることがある
- 結果を受け取ったら、数字だけを見て終わりにせず、「この数字は、私の場合どう読めばいいですか」と聞いてみる
- ネットの「フェリチンは◯◯以上が正常」という情報を、うのみにしない
その疲れ、鉄だけのせいとは限らない — 甲状腺・睡眠・心の不調も一緒に確かめる
ここまで読んで、「私の疲れは、きっと鉄不足だ」と思った方もいるかもしれません。少しだけ、立ち止まってください。疲れの原因は、鉄だけではありません。
| 疲れの原因 | こんな特徴があれば |
|---|---|
| 鉄不足、貧血 | 生理の量が多い。息切れがする。氷を無性にかじりたくなる |
| 睡眠の不足や、質の低下 | 寝つきが悪い。夜中に何度も起きる。いびきを指摘される |
| 甲状腺の病気 | 寒がりでむくみやすい。あるいは反対に、動悸がして汗をかきやすく、やせてきた |
| 心の不調 | 気分の落ち込みが続く。好きなことを楽しめない。食欲や眠りが変わった |
| 感染症のあと | かぜなどが治ったあとも、だるさが長引いている |
| 妊娠 | 生理が遅れている |
| 更年期のゆらぎ | 生理の周期や量が変わってきた。ほてりや汗、気分の波がある |
| 暮らしの負担 | 仕事、育児、介護が重なって、休む時間がとれていない |
たとえば、こんな2人を想像してみてください。よくある例をもとにした、架空の2人です。
32歳のAさんは、健診では「貧血なし」。それでも疲れが抜けずに相談したところ、鉄の貯えが少ないことがわかりました。本人は、生理の量が多いのは体質だと思っていたそうです。調べてみると、子宮筋腫が見つかりました。いまは筋腫の治療と、鉄を補う治療を始めて、少しずつ元気を取り戻しています。
41歳のBさんも、健診は「貧血なし」で、同じように疲れを訴えていました。ところが、鉄は足りていて、見つかったのは甲状腺の病気でした。
入り口は同じ「疲れ」と「貧血なし」でも、答えは人それぞれなのです。いくつかの原因が重なっていることも、珍しくありません。とくに産後や子育て中は、睡眠不足と貧血が重なることもあり、疲れの理由を自分で見分けるのはむずかしいものです。だからこそ、貧血や鉄不足が隠れていないかを、血液の検査で確かめておく意味があります。
鉄不足が見つかったとしても、疲れのすべてが鉄のせいとは限りません。実際、鉄不足の女性が鉄を補ったときも、疲れは軽くなりました。一方で、気分の落ち込みや不安には、はっきりした効果が見られなかったと報告されています。
鉄不足が見つかったときに、もうひとつ忘れてはいけないのが、「なぜ足りなくなったのか」を確かめることです。
- 生理の量が多くないか。子宮筋腫などの病気が隠れていないか
- 胃や腸など、生理以外のところから出血していないか
- 食事の量や内容が、偏っていないか
- 鉄をうまく吸収できない事情がないか
生理のある年代では、生理が原因のことが多いのは確かです。ただ、「どうせ生理のせい」と思い込んで、ほかの原因を見落とすのは避けたいところです。
閉経したあとの女性や男性で鉄不足が見つかったときは、胃や腸からの出血がないかを確かめることが大切です。ご家族の健診結果を見るときにも、思い出してください。
flowchart TD
A["疲れが抜けない"] --> B["気合い不足だと
片づけない"]
A --> C["きっと鉄不足だと
決めつけない"]
B --> D["相談して
確かめる"]
C --> D
D --> E["鉄の状態
ヘモグロビンと
必要なら貯えも"]
D --> F["ほかの原因
甲状腺・睡眠
心の不調など"]
E --> G["鉄不足なら
足りない理由も
確かめる"]
F --> H["原因に合った
手当てへ"]
G --> H
classDef start fill:#FCE7F3,stroke:#DB2777,color:#831843,stroke-width:2px
classDef keep fill:#FEF3C7,stroke:#D97706,color:#78350F,stroke-width:2px
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classDef goal fill:#EDE9FE,stroke:#7C3AED,color:#4C1D95,stroke-width:2px
class A start
class B,C keep
class D ask
class E,F,G good
class H goal
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どこに相談すればいいのか迷う方のために、目安をまとめておきます。
| 気になること | 相談先の目安 |
|---|---|
| 生理の量が多い、生理痛が強い | 婦人科 |
| 疲れが続く、健診で貧血を指摘された | かかりつけの内科(なければ、近くの内科) |
| 妊娠中、産後の体調が気になる | 妊婦健診や産後の健診を受けているところ |
| 気分の落ち込みが強い、眠れない | かかりつけのクリニック、心療内科など |
生理の量が多く、健診でも貧血を指摘された方は、婦人科と内科のどちらから相談を始めても大丈夫です。迷ったら、いちばん話しやすいところへ。必要があれば、合うところを紹介してもらえます。
【答え合わせ】セルフチェックの項目2
「疲れが抜けないのは、年齢や体力、気合いの問題」とは、限りません。疲れには、たいてい理由があります。「気合いが足りない」で片づけるのも、「鉄不足に違いない」と決めつけるのも、どちらも自分の体の声を聞き逃してしまいます。気になる疲れは、相談して確かめるのが早道です。
今日から使えるヒント
- 疲れについて、「いつから」「どんなときに強いか」「生理との関係はあるか」をメモしておく
- 相談のときは、「鉄の貯えも関係しますか」に加えて、「ほかの原因も調べたほうがいいですか」と聞いてみる
- 確かめる前に、サプリだけで解決しようとしない。原因が別にあった場合、見つけるのが遅れてしまう
【ポイント1】のまとめ
| よくある思い込み | 本当のところ |
|---|---|
| 健診で「貧血なし」なら、鉄は足りている | 健診が見ているのは主にヘモグロビン。鉄の貯えまでは、ふつうは調べていない |
| 健診を受けていれば、貧血は調べてもらっている | 健診の種類や条件によっては、貧血の検査そのものを受けていないこともある |
| フェリチンを測れば、全部わかる | 炎症があるときや産後まもない時期は、高く出る。数字ひとつでは決められない |
| フェリチンは、高ければ高いほどいい | 目安の数字は、目的によって違う。高すぎる数字は、別の病気のサインのこともある |
| 疲れの原因は、鉄不足だ | 甲状腺、睡眠、心の不調など、ほかの原因も一緒に確かめる。鉄不足なら、足りない理由も確かめる |
健診の結果も、フェリチンの数字も、大切な手がかりです。ただ、それだけで白黒をつけられるものではありません。症状や暮らしと合わせて読む。これが、鉄と上手につきあう第一歩です。
では、どうして女性は、こんなにも鉄不足になりやすいのでしょうか。次の【ポイント2】では、生理、食事、妊娠と出産という3つの場面から、女性の体と鉄の関係を見ていきます。

【ポイント2】女性が鉄不足になりやすいのは、生理・妊娠・出産があるから
同じものを食べて、同じように暮らしていても、鉄不足になるのは圧倒的に女性です。「私の食生活が悪いのかな」「体が弱いのかな」と、自分を責めてしまう方もいます。けれども、理由はもっとシンプルです。女性の体には、鉄が出ていく場面が、男性よりずっと多いのです。
鉄の家計簿で考えると、女性は「出費」が多く、「収入」が少なくなりがちです。出費の代表が、毎月の生理、妊娠、出産。収入にあたるのが、毎日の食事です。この章では、出費と収入の両方を見直します。とくに生理の量が多い方には、鉄を補うだけでなく、出ていく量そのものを減らす治療があることをお伝えします。
| 気になること | この章の答え |
|---|---|
| なぜ女性は鉄不足になりやすいの? | 生理、妊娠、出産で、鉄の出費が多いから |
| 生理の量が多いのは、体質だから仕方ない? | 仕方なくない。原因があることも多く、出血を減らす治療がある |
| 食事では、どのくらいとれているの? | 平均すると、目安の量の約6割。ダイエットが追い打ちをかける |
| 妊娠・出産では、どのくらい鉄を使うの? | 妊娠全体で、およそ1,000mg。食事の目安も大きく増える |
| 産後は、いつ貧血を調べればいいの? | 1か月健診を待たず、早い時期から。心の不調も一人で抱えない |
ひと言でいうと、女性の鉄不足は「体質」や「努力不足」ではなく、鉄の出費と収入のバランスの問題だ、ということです。
flowchart TD
A["鉄の収入
食事からとる鉄"] --> B["体の中の
鉄の貯金"]
B --> C["鉄の出費
生理のたびに
出ていく"]
B --> D["鉄の出費
妊娠と出産で
たくさん使う"]
C --> E["出費が収入を
上回り続ける"]
D --> E
E --> F["貯金が減る
隠れ貧血"]
F --> G["お財布も減る
鉄欠乏性貧血"]
classDef income fill:#DCFCE7,stroke:#16A34A,color:#14532D,stroke-width:2px
classDef bank fill:#E0F2FE,stroke:#0284C7,color:#0C4A6E,stroke-width:2px
classDef out fill:#FCE7F3,stroke:#DB2777,color:#831843,stroke-width:2px
classDef keep fill:#FEF3C7,stroke:#D97706,color:#78350F,stroke-width:2px
classDef warn fill:#FFE4E6,stroke:#E11D48,color:#881337,stroke-width:2px
class A income
class B bank
class C,D out
class E,F keep
class G warn
linkStyle default stroke:#94A3B8,stroke-width:2px
生理のたびに鉄は出ていく — 量が多い人は「補う」だけでなく「減らす治療」も
血液の赤い色は、鉄を含むヘモグロビンの色です。血液が体の外に出れば、鉄も一緒に出ていきます。生理のある女性は、毎月、決まって鉄の出費があるわけです。
問題は、その量です。生理の量は人と比べる機会がないので、多いのか少ないのか、自分ではわかりにくいものです。「昔からこうだから」と思っている方の中にも、実は量がとても多い人が少なくありません。次のようなことに心当たりはありませんか。
| こんなことはありませんか | ここがポイント |
|---|---|
| 昼間でも、夜用のナプキンが必要 | 量が多いサインのひとつ |
| 1〜2時間でナプキンがいっぱいになる | 外出や仕事に支障が出ていないか、ふり返る |
| レバーのような血のかたまりが、よく出る | 大きなかたまりがくり返し出るなら、相談を |
| 生理が8日以上続く | 期間が長いことも、出費が増える理由になる |
| 生理のたびに、ふらつきや強いだるさがある | 鉄不足が進んでいるかもしれない |
| 健診で貧血を指摘されたことがある | 生理の量との関係を、確かめておきたい |
ひとつでも当てはまる方は、一度、生理の量について相談してみてください。量が多い状態は「過多月経」と呼ばれ、原因が見つかることも多くあります。
- 子宮筋腫(子宮にできる、良性のこぶ)
- 子宮腺筋症(子宮の内側の膜に似た組織が、子宮の筋肉の中にできる病気)
- 子宮内膜ポリープ(子宮の内側にできる、小さなできもの)
- 血が止まりにくい体質や、血液の病気
ここで大切なのが、鉄を補うだけで終わらせない、ということです。蛇口を開けっぱなしにしたまま、バケツで水をくみ足しても、きりがありませんよね。鉄の薬でいったんよくなっても、出ていく量が多いままでは、同じことのくり返しになってしまいます。
鉄の対策は、2本立てで考えます。
- 補う:食事を整える。必要なら、鉄の薬を使う(【ポイント3】でくわしく)
- 減らす:出血を減らす治療を受ける。たとえば、ホルモンの薬、子宮の中に入れる小さな器具、出血をおさえる薬、原因になっている病気の治療など
「減らす治療」があることは、意外と知られていません。生理の量が減れば、鉄の出費がおさえられるうえに、毎月の憂うつが軽くなることもあります。
婦人科では、生理の様子をくわしく聞いたうえで、必要に応じて超音波などで子宮の様子を確かめます。不安なことは、予約のときや診察の前に伝えておくと安心です。
海外でも、見方が変わってきています。英国では2026年7月、生理の量が多い女性の診療の指針から、「フェリチンの検査は、ふだんは行わない」という一文が削除されました。「ふだんは検査しない」という方針を、取り下げたわけです。
生理のある女性全員に検査をすすめる、という話ではありません。ただ、「生理の量が多い人の鉄不足を、見逃さないようにしよう」という流れは、はっきりしてきました。
お子さんがいる方は、娘さんの生理にも目を向けてあげてください。10代は、体が大きくなる時期と生理の始まりが重なり、鉄が足りなくなりやすい年代です。部活動で激しい運動をしている場合は、なおさらです。「朝起きられない」「疲れやすい」の裏に、鉄不足が隠れていることがあります。
「生理のとき、つらくない?」「部活のあと、ふらふらしない?」と、さりげなく声をかけてみてください。気になることが続くときは、かかりつけの小児科や婦人科で相談できます。
【答え合わせ】セルフチェックの項目4
「生理の量が多いのは体質だから、仕方がない」は、思い込みでした。量が多いことには、理由があるかもしれません。治療という選択肢もあります。「体質だから」で終わらせないでください。
今日から使えるヒント
- 次の生理のとき、ナプキンを替える回数と、夜用を使った日数をメモしてみる
- 上の表に当てはまるものがあれば、婦人科で「生理の量が多い気がします」と伝える
- 鉄の薬を飲んでいるのに貧血をくり返す方は、生理の量について相談したことがあるか、ふり返ってみる
食事でとれている鉄は、平均すると目安の約6割 — ダイエットが追い打ちに
出費の次は、収入の話です。鉄は、体の中でつくることができません。外から取り入れるしかなく、ふだんの収入源は毎日の食事です。しかも、食べた鉄がすべて吸収されるわけではなく、体に入るのはその一部です。だからこそ、毎日こつこつ、とり続けることが大切です。
国は、「このくらいとれていれば、ほとんどの人が足りる」という1日の目安の量を決めています。
| あなたの状況 | 1日の鉄の目安 |
|---|---|
| 生理のない大人の女性 | 6.0mg |
| 生理のある女性(18〜29歳) | 10.0mg |
| 生理のある女性(30〜49歳) | 10.5mg |
| 妊娠初期 | 8.5mg |
| 妊娠中期・後期 | 14.5mg |
| 授乳中 | 8.0mg |
生理があるだけで、目安はぐんと増えます。妊娠の後半には、さらに増えます。表の数字は、どれも食事からとる1日の合計です。サプリで上乗せする量ではありません。
では、実際にはどのくらいとれているのでしょうか。国の最新の食事調査では、20代から40代の女性が食事からとっている鉄は、平均で1日6mg台でした。生理のある女性の目安と比べると、およそ6割です。
ただし、これは「平均」と「目安」を比べた数字です。「女性の6割が鉄不足」という意味ではありませんし、食事の量だけで鉄不足かどうかが決まるわけでもありません。それでも、多くの女性にとって、鉄の収入が心もとないことは確かです。
しかも、この目安は、生理の量が多くない方を想定したものです。量が多い方は、目安どおりにとっていても、足りなくなることがあります。
そこに追い打ちをかけるのが、食べる量そのものが減ることです。
| こんな食生活は要注意 | 理由 |
|---|---|
| 食事の量を大きく減らすダイエット | 食べる量が減れば、鉄も、ほかの栄養も一緒に減る |
| 朝食を抜く。昼はパンやおにぎりだけ | 1日に鉄をとるチャンスが減る |
| 肉や魚をほとんど食べない | 吸収されやすい鉄をとる機会が少なくなる |
| 忙しくて、自分の食事はいつも後回し | 家族の分は作っても、自分は残り物で済ませがちになる |
鉄不足は、やせている方だけの問題ではありません。「お肉を食べているから大丈夫」とも言い切れません。入ってくる量と、出ていく量。両方を合わせて考える必要があります。何をどう食べればよいかは、【ポイント3】のSTEP2でくわしくご紹介します。
今日から使えるヒント
- 昨日の食事を思い出して、肉、魚、卵、豆、青菜がどのくらい入っていたかをふり返ってみる
- ダイエット中でも、主菜(肉、魚、卵、大豆製品のおかず)は抜かない
- 「食事だけで何とかしなければ」と思い詰めない。出費が多い方は、食事だけでは追いつかないこともある
妊娠・出産は鉄の大仕事 — 産後の貧血は早めに確かめ、心の不調も一人で抱えない
女性の一生の中で、鉄がいちばん必要になるのが、妊娠と出産です。妊娠中の方と産後の方では、読みどころが少し違います。産後の方は、途中の「産後に大切な2つのこと」から読んでも大丈夫です。
妊娠すると、鉄は次の3つの場面で使われます。
| 鉄が使われる場面 | 内容 |
|---|---|
| お母さんの血液を増やす | 赤ちゃんに栄養と酸素を届けるため、血液の量が増える |
| 赤ちゃんと胎盤を育てる | 赤ちゃんは、お母さんから鉄をもらって育つ |
| 出産のときの出血 | 出血の量には個人差がある |
これらを合わせると、妊娠全体で必要になる鉄は、およそ1,000mgになるといわれています。体の中にある鉄の貯金だけでは、とても足りない量です。
念のためお伝えすると、この1,000mgは、妊娠全体で必要になる量のおおよその目安です。全員がこれだけ失うわけではありませんし、この量を薬で補いましょう、という意味でもありません。お母さんの血液を増やすのに使われた鉄の一部は、産後に体の中で再利用されます。
必要な鉄は、妊娠の後半になるほど増えていきます。そのため、この時期に貧血になる方は、珍しくありません。妊娠中は血液が薄まる影響もあるので、ヘモグロビンが下がったからといって、すべてが鉄不足というわけではありません。だからこそ、妊婦健診で定期的に確かめることに意味があります。
妊娠中に鉄の薬が出されたときは、自分の判断でやめないでください。つわりで飲めない、便秘がつらい、というときは、我慢するのではなく相談を。薬の種類や飲み方を変えられることがあります。
妊娠を考えている方は、妊娠する前に鉄の貯金を整えておけると、心強いですね。健診の結果を見直し、生理の量が多い方は、この機会に相談しておくことをおすすめします。
2人目、3人目の妊娠を考えている方にも、知っておいてほしいことがあります。出産で減った鉄の貯金は、すぐには戻りません。戻りきらないうちに次の妊娠を迎えると、鉄不足になりやすくなります。授乳中の鉄の目安も、生理のない大人の女性より少し高めです。「もう大丈夫」と決めて、産後の自分の体を後回しにしないでください。
産後に大切な2つのこと
出産のあとには、大切なことが2つあります。
ひとつ目は、「産後の貧血は、1か月健診まで待たなくていい」ということです。出産のときの出血で、産後に貧血になる方は少なくありません。2026年に改訂された日本の産科の診療指針でも、貧血の項目が「妊娠中」から「妊娠中と産後」へと広げられました。
産後の貧血は、2段階で考えます。
- 入院中など、産後の早い時期:貧血を確かめ、必要なら鉄を補う
- 1か月健診:回復の具合と、薬を続けるかどうかを相談する
1か月健診を過ぎた方も、相談するのに遅すぎることはありません。疲れや息切れが続くなら、出産した施設や、かかりつけの内科で「産後の貧血が気になります」と伝えてみてください。
【ポイント1】でお伝えしたとおり、出産してまもないうちは、フェリチンが高く出ます。そのため、この時期はヘモグロビンや出血の量などを合わせて判断します。
ふたつ目は、心の不調とのつながりです。産後に貧血や鉄不足がある場合、気分の落ち込みを経験する方が多いと報告されています。新しい診療指針でも、この点に目が向けられています。
ここは正確にお伝えします。わかっているのは、「関係がある」までです。貧血が原因だと証明されたわけではありません。鉄を補えば産後の落ち込みを防げる、とわかったわけでもありません。産後の気分の落ち込みには、たくさんのことがかかわっています。睡眠不足やホルモンの変化、慣れない育児の緊張、まわりの支えの有無などです。
| 産後に心がけたいこと | 内容 |
|---|---|
| 貧血を見逃さない | 早い時期から確かめ、必要なら治療を受ける。体の回復を助ける土台になる |
| 授乳中であることを伝える | 鉄の薬を出されたときや、サプリを考えているときは、授乳中であることを伝えて、相談しながら決める |
| 心の不調を、鉄だけのせいにしない | 鉄を補っても気分が晴れないときは、それとは別に相談していい |
| 自分を責めない | 貧血も落ち込みも、食べ方や努力が足りないせいではない |
| 一人で抱えない | 出産した施設、地域の保健師、住んでいる市区町村の産後ケアなど、頼れる先はいくつもある |
flowchart TD
A["出産"] --> B["産後の早い時期に
貧血を確かめる"]
A --> E["心と体の疲れ
眠れない日が続く"]
B --> C["貧血があれば
鉄を補う"]
C --> D["1か月健診で
回復を確かめる"]
E --> F["一人で抱えずに
相談する"]
D --> G["体も心も
両方を手当て"]
F --> G
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classDef body fill:#E0F2FE,stroke:#0284C7,color:#0C4A6E,stroke-width:2px
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class B,C,D body
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出血が多い。息が苦しい。立ち上がると倒れそうになる。そんなときは、健診の日を待たずに、出産した施設に連絡してください。
産後の抜け毛についても、ひと言。産後に髪がごっそり抜けて、驚く方は多いものです。その多くは、ホルモンの変化による一時的なもので、鉄不足のせいとは限りません。ただ、長引くときや、ほかにも気になる症状があるときは、相談してみてください。
【答え合わせ】セルフチェックの項目5
「産後の貧血は、1か月健診のときに調べれば十分」ではありません。産後は、早い時期から確かめる。1か月健診では、回復を確かめる。この2段階で考えてください。
今日から使えるヒント
- 妊娠中の方は、妊婦健診の結果でヘモグロビンの数字を確かめ、わからないことは遠慮なく聞く
- 出産を控えている方は、「産後の貧血は、いつ調べてもらえますか」と、前もって聞いておく
- 産後の方は、体のつらさも気分の落ち込みも、「産後だから当たり前」と我慢しない。1か月健診の前でも後でも、気になったときに相談していい
【ポイント2】のまとめ
| 場面 | 鉄に起きていること | 大切なこと |
|---|---|---|
| 生理 | 毎月、鉄が出ていく。量が多いと、出費が大きくなる | 補うだけでなく、出血を減らす治療も考える |
| 食事 | 鉄の収入。平均すると、目安の約6割 | 食べる量を減らしすぎない。食事だけで追いつかないこともある |
| 妊娠 | 妊娠全体で、およそ1,000mgの鉄が必要になる | 妊婦健診で定期的に確かめる。できれば妊娠前から整える |
| 産後 | 出産の出血で、貧血になる方は少なくない | 早い時期から確かめ、1か月健診で回復を確かめる。心の不調も一人で抱えない |
女性の鉄不足は、体質や努力の問題ではありません。鉄が出ていく場面が多く、入ってくる量が少なくなりがち、という家計簿の問題です。家計簿なら、立て直すことができます。
次の【ポイント3】では、忙しい毎日の中でも今日から始められる、3つのステップをご紹介します。

【ポイント3】忙しくても今日からできる、隠れ貧血に振り回されない3ステップ
健診の数字だけではわからないこと。女性の体から鉄が出ていきやすいこと。ここまで読んで、「じゃあ、私は何をすればいいの?」と思われた方も多いでしょう。仕事に家事に育児にと、自分のことはいつも後回し。そんな毎日の中で、特別なことを始めるのは大変です。
結論からお伝えします。やることは、「確かめる」「食べる」「続けて見直す」の3つだけです。高価なサプリを買いそろえる必要も、完璧な献立を立てる必要もありません。どれも、今日、数分あれば始められます。
| ステップ | やること | 今日できる一歩(目安の時間) |
|---|---|---|
| STEP1 確かめる | 健診結果と生理の量を見直して、鉄の貯えについて相談する | 健診結果を引き出しから出して、ヘモグロビン(血色素量)の欄を見る(3分) |
| STEP2 食べる | 肉・魚・豆を組み合わせ、ビタミンCを添える | 今日の夕食に、鉄の多い食品を1品足す(5分) |
| STEP3 続けて見直す | 治療が合っているか、原因への対応が進んでいるかを確かめる | 次の検査や受診の予定を、カレンダーに入れる(1分) |
ひと言でいうと、サプリに頼る前に確かめ、食事は土台として整え、治療は続けられる形を相談しながら見直す、ということです。
flowchart TD
A["疲れが抜けない
鉄不足かも"] --> S1["STEP1
確かめる
健診結果と
生理の量を見直す"]
S1 --> S2["STEP2
食べる
肉・魚・豆と
ビタミンC"]
S2 --> S3["STEP3
続けて見直す
治療と原因への
対応を確かめる"]
S3 --> G["鉄に振り回されない
毎日へ"]
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class S1 s1
class S2 s2
class S3 s3
class G goal
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STEP1 確かめる — 健診結果と生理の量を見直して、「鉄の貯えも関係しますか」と相談する
鉄のサプリを買いに走る前に、やってほしいことがあります。いまの自分の状態を、確かめることです。【ポイント1】でお伝えしたとおり、疲れの原因は鉄とは限りません。鉄不足だったとしても、「なぜ足りないのか」がわからないままでは、同じことをくり返してしまいます。
確かめることは、3つあります。
| 確かめること | やり方 |
|---|---|
| 健診の結果 | ヘモグロビン(血色素量)の欄があるか。数字はいくつか。数年分を並べて、下がってきていないか |
| 生理の量 | 【ポイント2】の表に当てはまるものがないか。ナプキンを替える回数、夜用を使う日数、続く日数 |
| ふだんの体調と食事 | 疲れ、息切れ、氷をかじりたくなる、などのサイン。食事の量や内容 |
材料がそろったら、相談です。生理の量が気になる方は婦人科、疲れ全般ならかかりつけの内科、妊娠中や産後の方は健診を受けているところが、話しやすいと思います。
診察室では、こう切り出してみてください。「疲れが続いていて、生理の量も多い気がします。貧血だけでなく、鉄の貯えも関係しますか」。このひと言で、話が進みやすくなります。
状況に合わせて、こんな言い方もできます。
- 健診は異常なしだった方:「健診では貧血なしでしたが、疲れが続いています。鉄の貯えも関係しますか」
- 産後の方:「出産してから、疲れと息切れが続いています。授乳中です。貧血や鉄の状態を確かめてもらえますか」
- 健診で再検査をすすめられた方:「健診で貧血の再検査をすすめられました。生理の量も多い気がします」
伝えたいことは、メモにしておくと安心です。
| メモすること | 書き方の例 |
|---|---|
| 困っている症状と、いつからか | 「半年前から疲れが抜けない」「階段で息が切れる」 |
| 生理の様子 | 「2日目は1〜2時間でナプキンを替える」「8日くらい続く」 |
| 氷や食事のこと | 「氷を毎日かじっている」「朝食は抜くことが多い」 |
| 妊娠・出産のこと | 「妊娠を考えている」「産後4か月で、授乳中」 |
| 飲んでいる薬やサプリ | 「市販の鉄のサプリを、2か月前から」 |
| これまでの健診や病気 | 「去年の健診でヘモグロビン12.3」「子宮筋腫があると言われたことがある」 |
すでに鉄のサプリを飲んでいる方は、そのことも必ず伝えてください。検査の結果を読むときの、大事な情報になります。
聞いておきたいことも、先に決めておきましょう。
- 私の疲れに、鉄不足は関係していそうですか
- 鉄の貯えを調べる検査は、必要ですか
- 鉄不足だとしたら、原因は何が考えられますか
- 治療が必要な場合、どんな方法がありますか
今日から使えるヒント
- 健診結果を引き出しから出して、スマホで写真を撮っておく。受診のときに、すぐ見せられる
- 次の生理が来たら、ナプキンを替えた回数を、スマホのメモに残す
- かかりつけがない方は、通勤や家事の合間に行ける内科や婦人科を、スマホでひとつ探しておく
STEP2 食べる — 肉・魚・豆を組み合わせ、ビタミンCを添えて、お茶は時間をずらす
鉄の収入を増やす基本は、毎日の食事です。鉄には、2つのタイプがあります。
| 鉄のタイプ | 多く含む食品 | 特徴 |
|---|---|---|
| 肉や魚に含まれる鉄(ヘム鉄) | 赤身の肉、かつお・まぐろ・いわしなどの魚 | 体に吸収されやすい |
| 植物性の食品などに含まれる鉄(非ヘム鉄) | 納豆・豆腐・厚揚げなどの大豆製品、小松菜・ほうれん草などの青菜、卵 | そのままでは吸収されにくいが、食べ合わせで吸収がよくなる |
あさりやしじみなどの貝も、鉄の多い食品です。
「吸収されやすいなら、お肉だけ食べればいい」と思われるかもしれません。けれども、国の食事の基準でも、動物性の食品だけを優先する必要はないとされています。植物性の食品も、うまく活用することがすすめられています。大切なのは、組み合わせです。
「鉄といえば、ひじき」と思っている方もいるかもしれません。実は、同じほしひじきでも、作り方によって鉄の量が大きく違います。国(文部科学省)の食品成分表では、ステンレスの釜で作ったものは、鉄の釜で作ったものより、鉄がずっと少ない値です。ひじきは食物繊維やカルシウムもとれる食品ですが、鉄のためには、ひとつの食品に頼らず、いろいろな食品を組み合わせるのが近道です。
食べ合わせのコツは、3つです。
- 鉄の多い食品に、ビタミンCを添える
- 小松菜と厚揚げの炒めものに、レモンをしぼる
- 納豆ごはんのあとに、みかんやキウイを食べる
- 赤身肉のソテーに、ブロッコリーやパプリカを添える
- 植物性の鉄を、肉や魚と一緒にとる
- ほうれん草と豚肉の炒めもの
- 豆腐とかつおのサラダ
- 1回にまとめず、毎食少しずつ
- 朝に卵、昼に魚、夜に肉と青菜、というように分ける
お茶やコーヒーについても、よく質問をいただきます。お茶に含まれる成分は、鉄の吸収を少しじゃまします。だからといって、お茶をやめる必要はありません。鉄不足が気になる方は、食事のときは水にして、お茶やコーヒーは少し時間をおいてから楽しむ。そのくらいの工夫で十分です。
レバーは鉄の多い食品として有名ですが、ビタミンAもたくさん含まれています。妊娠を考えている方や妊娠中の方がとりすぎると、赤ちゃんに影響するおそれがあります。妊娠中は、鉄のためにレバーをせっせと食べる必要はありません。ほかの食品でも、鉄は補えます。うっかり一度食べたからといって、心配しすぎなくて大丈夫です。
忙しい方のために、「いつもの食事にひと工夫」の例もご紹介します。
| いつもの食事 | ひと工夫 |
|---|---|
| 朝は菓子パンとコーヒー | 卵やツナのサンドイッチにして、食後にみかんを1個。コーヒーは少し時間をおいて |
| 昼はおにぎりだけ | ゆで卵か納豆巻き、青菜のおひたしを足す |
| 外食はパスタが多い | あさりやツナ、ほうれん草の入ったものを選ぶ |
| 夕食は、子どもの残り物で済ませがち | 魚の缶詰、豆腐、冷凍の青菜を常備して、自分用に1品足す |
ひとつ、心にとめておいてほしいことがあります。食事は、鉄不足を防ぐ土台です。ただ、すでに貧血や鉄不足がはっきりしている場合は、食事だけで取り戻すのはむずかしいことが多いのです。「食事で治さなければ」とがんばりすぎず、治療と食事を、車の両輪と考えてください。
【答え合わせ】セルフチェックの項目7
「鉄をとるなら、とにかくレバーをたくさん食べればいい」わけではありません。ひとつの食品に頼るより、いろいろな食品を組み合わせるほうが、続けやすく、体にもやさしい方法です。
今日から使えるヒント
- 今日の夕食に、鉄の多い食品を1品だけ足す。納豆1パック、魚の缶詰1個でいい
- 食後のお茶やコーヒーは、食器を片づけて、ひと息ついてからにする
- 買い物のとき、魚の缶詰、豆腐や厚揚げ、冷凍の青菜をかごに入れる
STEP3 続けて見直す — 飲み薬がつらいときは相談を、点滴は条件が合う人の選択肢
鉄不足や貧血がわかって、治療を始めることになった。ここからが、本番です。鉄の治療は、始めることより、続けることのほうがむずかしいからです。まだ治療をしていない方も、治療が始まったらどうなるのかを知っておくと、相談のときに安心です。
治療の基本は、鉄の飲み薬です。ただ、飲み薬には、おなかの症状が出やすいという弱点があります。
| 飲み薬でよくある困りごと | どうすればいい? |
|---|---|
| 吐き気がする、胃がむかむかする | 薬の種類、量、飲む時間を変えられることがある。我慢せずに伝える |
| 便秘や下痢になる | 同じく、調整できることがある |
| 便が黒くなる | 鉄の薬では、よくあること。ただし、タールのようにねっとりした便や、ふらつきを伴うときは、早めに相談を |
| つい飲み忘れる | 毎日の決まった行動(歯みがき、寝る前など)とセットにする |
いちばん避けたいのは、つらくてやめてしまい、そのままになることです。「飲めません」と伝えるのは、わがままではありません。「無理して続ける」か「やめてしまう」かの二択で考えなくて大丈夫です。「飲めません」のひと言は、続けられる形を一緒に探すための、大切な情報になります。
よく聞かれるのが、「いつまで飲めばいいですか」という質問です。ヘモグロビンが正常に戻ると、「もう治った」と思いがちです。けれども、その時点で足りてきたのは、お財布の中身だけ。貯金のほうは、まだ十分ではありません。
貯金を取り戻すために、ヘモグロビンが正常になったあとも、数か月は飲み続けることが多いのです。やめどきは、自分で決めず、検査の結果を見ながら相談してください。
飲み薬がどうしても合わない場合には、点滴で鉄を補う方法もあります。最近は、少ない回数で必要な量を補える薬も登場しました。ただ、点滴は、だれでも受けられる「手軽な方法」ではありません。
点滴の鉄について、知っておきたいこと
- 対象になる人:鉄欠乏性貧血と診断されていて、飲み薬が使えない、あるいは合わない方。ヘモグロビンが正常で、鉄の貯えが少ないだけの段階では、対象になりません
- 回数:薬の種類、体重、貧血の程度によって違います。「だれでも1〜3回で終わる」わけではありません
- 効き目:点滴をしたその日に、元気になるわけではありません。体が鉄を使って血液をつくるには、時間がかかります
- 安全のための確認:まれに、強いアレルギーのような反応が起こることがあります。薬によっては、血液の中のリン(骨などに欠かせないミネラル)が下がることがあり、2026年6月に国内で注意が強化されました。検査を受けながら使います
- そのほか:点滴の薬がもれると、皮膚に色が残ることがあります
点滴は、条件が合う方にとっては、心強い選択肢です。ただ、「飲み薬よりラクそう」という理由で選ぶものではありません。体の状態を確かめたうえで、相談して決めるものです。
flowchart TD
A["鉄不足がわかった"] --> B["原因を確かめる
生理の量など"]
A --> C["食事を整える"]
B --> D["必要なら
飲み薬で補う"]
C --> D
D --> E["続けられる
効いている"]
D --> F["副作用でつらい
効き目が不十分"]
E --> G["検査で確かめながら
数か月続ける"]
F --> H["薬の種類や飲み方を
相談して調整"]
H --> I["貧血があり飲み薬が
むずかしいときは
点滴も選択肢"]
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class A start
class B,C base
class D,E,G med
class F,H keep
class I goal
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治療を始めたら、定期的に「見直し」をしましょう。確かめたいのは、次の5つです。
| 見直しのポイント | 確かめること |
|---|---|
| 症状 | 疲れや息切れは、軽くなってきたか。氷への欲求は、おさまってきたか |
| 薬 | 続けられているか。つらい副作用はないか |
| 検査 | ヘモグロビンと鉄の貯えは、回復してきたか |
| 原因への対応 | 生理の量が多い方は、そちらの相談や治療は進んでいるか |
| 食事 | STEP2の工夫は、無理なく続いているか |
とくに大切なのが、「原因への対応」です。【ポイント2】でお伝えしたとおり、蛇口が開いたままでは、いくら補っても追いつきません。鉄の治療が終わったあとに貧血をくり返す方は、原因への対応が手つかずになっていないか、ふり返ってみてください。
【答え合わせ】セルフチェックの項目6
「鉄は、サプリでたくさんとるほど元気になれる」も、思い込みです。鉄は、足りない人が補えば元気を取り戻す助けになります。けれども、足りている人が余分にとっても、元気が上乗せされるわけではありません。とりすぎれば、胃腸の不調などの原因になります。必要な人が、必要な量を、確かめながら。これが、鉄とのつきあい方の基本です。
今日から使えるヒント
- 鉄の薬でつらい症状があるなら、次の受診を待たずに、電話で相談してもいい
- 家族に、治療中であることを伝えておく。食事の工夫や、受診の時間をつくる手助けをしてもらいやすくなる
- カレンダーに、次の検査の予定を入れておく。「元気になったから、もういいか」で終わらせない
知っておきたい注意点
- 鉄の薬やサプリは、子どもの手の届かないところに置く。 小さな子どもが誤って大量に飲むと、命にかかわる中毒を起こすことがあります。甘い味のついた製品は、とくに注意が必要です
- サプリの重ねどりに気をつける。 マルチビタミン、鉄のサプリ、鉄入りの飲料、処方された鉄の薬。知らないうちに重なっていることがあります。鉄の上限の量が決められていないのは、「いくらとっても安全」だからではありません(まとめの「よくある質問」でくわしくお答えします)
- ほかの薬との飲み合わせがある。 鉄の薬は、一部の薬と一緒に飲むと、お互いの吸収をじゃますることがあります。受診のときや薬局で、お薬手帳を見せてください
- 急いで受診したいサインを忘れない。 胸の痛み、じっとしていても息苦しい、気を失いそうになる、出血が多い、黒くてタールのような便が出る。こうしたときは、様子を見ずに受診してください
- この章の内容は、一般的な情報です。 どの方法が合うかは、検査の結果と体の状態を確かめたうえで決まります
【ポイント3】のまとめ
| ステップ | 覚えておきたいこと |
|---|---|
| STEP1 確かめる | サプリを買う前に、健診結果・生理の量・体調を見直す。「鉄の貯えも関係しますか」と聞いてみる |
| STEP2 食べる | 肉・魚・豆・青菜を組み合わせ、ビタミンCを添える。お茶は時間をずらす。レバーやひじきなど、ひとつの食品に頼りすぎない |
| STEP3 続けて見直す | 飲み薬がつらいときは、やめる前に相談する。ヘモグロビンが正常になっても、鉄の貯えが戻るまで続ける。生理の量など、原因への対応も確かめる |
鉄は、「たくさんとればいい」ものでも、「特別な食品に頼る」ものでもありません。確かめて、食べて、続けて見直す。この3つをくり返すうちに、数字に振り回されずに、自分の体とつきあえるようになります。
次のまとめでは、記事全体をふり返ります。「サプリだけでいい?」「便が黒くなったら?」「レバーが苦手なときは?」といった、よくある質問にもお答えします。セルフチェックの答えも、一覧で確認できます。

まとめ|疲れは気合いで乗り切らなくていい、鉄の貯えを確かめればいい
ここまで読んでくださって、ありがとうございます。「健診で『貧血なし』と言われたのに、なぜこんなに疲れるんだろう」。そんなモヤモヤから、この記事は始まりました。
いちばんお伝えしたかったのは、とてもシンプルなことです。疲れは、気合いで乗り切るものではありません。理由があるかもしれないのだから、確かめればいい。そのとき、健診のヘモグロビンだけでなく、「鉄の貯え」という見方も持っておいてほしい。
この章では、3つのポイントをふり返り、よくある質問にお答えして、セルフチェックの答えを一覧にします。読み終えたら3分でできることも、ご紹介します。
隠れ貧血は「見えにくい鉄不足」 — 数字ひとつで決めつけず、原因まで確かめる
隠れ貧血は、「見えにくい鉄不足」です。見えにくい理由は、2つあります。
- ふつうの健診では、鉄の貯えまで調べていない。 健診が見ているのは、主にヘモグロビン(お財布)。貯金の残高は、別の検査でないとわからない(【ポイント1】)
- 少しずつ進むので、体が慣れてしまう。 「これが私のふつう」と思い込み、疲れを年齢や気合いのせいにしてしまいがち(冒頭の章)
見えにくいものに気づくには、生理、妊娠と出産、食事といった「鉄が減りやすい場面」を知っておくことが近道です(【ポイント2】)。気づいたあとは、確かめる、食べる、続けて見直すの3ステップで向き合えます(【ポイント3】)。
だからこそ、この記事では、「決めつけない」という言葉をくり返してきました。
- 「貧血なし」だから大丈夫、と決めつけない。 鉄の貯えは、別の検査でないとわからない
- 「疲れているから鉄不足だ」とも、決めつけない。 甲状腺、睡眠、心の不調など、ほかの原因のこともある
- フェリチンの数字ひとつで、決めつけない。 炎症や産後まもない時期は高く出る。目安の数字も、【ポイント1】の表のとおり、目的で変わる
- 鉄不足がわかっても、「補えば終わり」と決めつけない。 なぜ足りなくなったのか、原因まで確かめる
足りていると思い込むのも、足りないと思い込むのも、どちらも遠回りです。いちばんの近道は、相談して確かめることです。
flowchart TD
A["健診は貧血なし
でも疲れが抜けない"] --> B["気合いのせいとも
鉄のせいとも
決めつけない"]
B --> C["相談して確かめる
ヘモグロビンと
必要なら鉄の貯えも"]
C --> D["鉄不足がある"]
C --> E["鉄は足りている"]
D --> F["原因を確かめる
生理の量など"]
E --> G["ほかの原因を
確かめる"]
F --> H["補う・減らす・
見直すを続ける"]
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classDef keep fill:#FEF3C7,stroke:#D97706,color:#78350F,stroke-width:2px
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class A start
class B keep
class C ask
class D,E,F,G good
class H goal
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自分の状況に合わせた「いまできること」と、読み返したい章は、この記事のまとめの表で確かめられます。
よくある質問(FAQ)— サプリでいい?便が黒くなったら?レバーが苦手なときは?
よくある質問に、「答え」「理由」「どうすればいい?」の順でお答えします。
Q1. 市販の鉄のサプリだけで、治せますか?
答え: サプリだけで済ませるのは、おすすめしません。
理由: サプリだけで済ませると、次のようなことが起こりがちです。
- 生理の量が多い、胃や腸から出血しているなど、足りなくなった原因がそのままだと、補っても追いつかない
- 原因が別の病気だった場合に、見つけるのが遅れる
- はっきりした貧血がある場合は、サプリに含まれる量では足りないことも多い
どうすればいい? 疲れや息切れが続くとき、生理の量が多いときは、サプリを飲み始める前に一度相談してください。すでに飲んでいる方は、受診のときに、製品の名前と飲んでいる量を伝えてください。
Q2. 鉄の薬を飲み始めたら、便が黒くなりました。大丈夫でしょうか?
答え: 鉄の薬を飲んでいるあいだ、便が黒っぽくなるのは、よくあることです。
理由: 吸収されなかった鉄が、便に混ざって出ていくためです。薬が原因の黒い便であれば、心配はいりません。ただ、黒い便には、胃や腸からの出血が原因のものもあります。
どうすればいい? 次のような場合は、「薬のせいだろう」と決めつけずに、早めに受診してください。
- タールのように、黒くてねっとりした便が出る
- ふらつき、強いだるさ、おなかの痛みを伴う
- 鉄の薬を飲んでいないのに、便が黒い
Q3. レバーが苦手です。ほかに何を食べればいいですか?
答え: レバーを食べなくても、ほかの食品で鉄はとれます。
理由: 鉄は、いろいろな食品に含まれています。赤身の肉、かつおやまぐろなどの魚、あさり、大豆製品(納豆や豆腐など)、青菜(小松菜やほうれん草など)です。ビタミンCの多い野菜や果物を添えると、吸収もよくなります。
どうすればいい? 好きな食品を、毎日少しずつ組み合わせてください。くわしい食べ合わせは、【ポイント3】のSTEP2でご紹介しています。妊娠を考えている方や妊娠中の方は、レバーのとりすぎに注意が必要です。くわしくは、食品安全委員会の案内をご覧ください。
Q4. 健診で「貧血なし」でした。それでも、相談していいのでしょうか?
答え: もちろんです。健診の結果が正常でも、遠慮なく相談してください。
理由: 健診でわかるのは、主にヘモグロビンです。鉄の貯えが減っていても、ヘモグロビンは正常のままのことがあります。だからといって、全員が鉄の貯えを調べる必要がある、というわけではありません。検査が必要かどうかは、症状、生理の量、妊娠や産後かどうかなどを合わせて判断します。
どうすればいい? 「健診では異常なしでしたが、疲れが続いています。生理の量も多い気がします。鉄の貯えも関係しますか」と、そのまま伝えてください。健診の結果を持っていくと、話が早く進みます。
Q5. 鉄は、とりすぎるとどうなりますか?
答え: 多くとるほど元気になる、ということはありません。とりすぎは、体の負担になります。
理由: 鉄のサプリを多くとると、吐き気や便秘など、胃腸の不調が出やすくなります。体には、余分な鉄を積極的に外に出すしくみがありません。国の食事の基準では、鉄の上限の量は、いまのところ決められていません。これは、十分な根拠がそろわず、数字を決められなかったためです。「いくらとっても安全」だからではありません。
どうすればいい? マルチビタミン、鉄のサプリ、鉄入りの飲料など、鉄を含むものを重ねてとっていないか、確かめてください。足りているかどうかわからないまま、自己判断で大量にとり続けるのは避けましょう。小さなお子さんがいるご家庭では、誤って飲まないよう、置き場所にも気をつけてください。
Q6. 産後、気分が落ち込みます。鉄をとれば、よくなりますか?
答え: 鉄だけでよくなるとは、言えません。ただ、貧血を確かめておくことには、意味があります。
理由: 産後の貧血や鉄不足は、気分の落ち込みと関係があることが報告されています。ただ、貧血が原因なのか、鉄を補えば落ち込みを防げるのかは、まだわかっていません(くわしくは【ポイント2】で)。産後の気分には、睡眠不足やホルモンの変化など、たくさんのことがかかわっています。
どうすればいい? 貧血の確認と治療は、体の回復の土台として受けてください。それとは別に、気分の落ち込みそのものについても、出産した施設や地域の保健師に相談してください。
つらい気持ちが強いときは、厚生労働省の「まもろうよ こころ」で、電話やSNSの相談窓口を探せます。あなたの努力が足りないせいでは、決してありません。
この記事のまとめ — 「その疲れ、鉄不足かも」と気づくことが、元気への第一歩
記事全体を、章ごとにふり返ります。
- 隠れ貧血とは?:貧血の一歩手前の鉄不足。ヘモグロビンは「お財布」、フェリチンは「貯金」。氷を無性にかじりたくなるのは、相談のきっかけ
- 【ポイント1】:健診の「貧血なし」は、「鉄不足なし」という意味ではない。フェリチンも万能ではない。疲れの原因は、鉄だけとは限らない
- 【ポイント2】:女性は、生理、妊娠、出産で鉄が出ていく。量が多い生理には、減らす治療がある。産後の貧血は、早い時期から確かめる
- 【ポイント3】:確かめる、食べる、続けて見直す。飲み薬がつらいときは相談を。点滴は、条件が合う人の選択肢
冒頭のセルフチェックの答えを、一覧にまとめました。7つの項目は、どれも思い込みでした。いくつ当てはまっていたか、思い出しながら見てみてください。
| 項目 | 本当のところ | くわしくは |
|---|---|---|
| 1. 健診で「貧血なし」と言われたら、鉄は足りている | 健診が見ているのは主にヘモグロビン。鉄の貯えまでは、ふつうは調べていない | 【ポイント1】 |
| 2. 疲れが抜けないのは、年齢や体力、気合いの問題 | 疲れには、たいてい理由がある。鉄不足のことも、ほかの原因のこともある | 【ポイント1】 |
| 3. フェリチンの数字は、高ければ高いほどいい | 目安の数字は、目的によって違う。高すぎる数字は、別の病気のサインのこともある | 【ポイント1】 |
| 4. 生理の量が多いのは体質だから、仕方がない | 原因が見つかることも多い。出血を減らす治療がある | 【ポイント2】 |
| 5. 産後の貧血は、1か月健診のときに調べれば十分 | 早い時期から確かめる。1か月健診では、回復を確かめる | 【ポイント2】 |
| 6. 鉄は、サプリでたくさんとるほど元気になれる | 足りている人が余分にとっても、元気は上乗せされない。とりすぎは体の負担 | 【ポイント3】 |
| 7. 鉄をとるなら、とにかくレバーをたくさん食べればいい | いろいろな食品を組み合わせる。妊娠中は、レバーは控えめに | 【ポイント3】 |
状況によって、いまできることは少しずつ違います。自分に近い行を探して、気になる章も読み返してみてください。
| あなたの状況 | いまできること |
|---|---|
| 健診で「要再検査」「貧血の疑い」と書かれた | 放っておかずに、結果表を持って受診する。生理の量が多い方は、婦人科でも相談できる(【ポイント1】) |
| 健診は「異常なし」なのに、疲れが抜けない | ヘモグロビンの数字を確かめ、「鉄の貯えも関係しますか」と相談する(冒頭の章、【ポイント1】) |
| フェリチンの数字が気になる | 数字ひとつで決めず、検査を受けたところで読み方を聞く(【ポイント1】) |
| 生理の量が多い気がする | ナプキンを替える回数をメモして、婦人科で相談する。量を減らす治療もある(【ポイント2】) |
| 妊娠を考えている | 妊娠する前に、鉄の状態と生理の量を確かめておく(【ポイント2】) |
| 妊娠中 | 妊婦健診のヘモグロビンを確かめる。鉄の薬がつらいときは、やめずに相談する(【ポイント2】) |
| 産後 | 貧血を早い時期から確かめる。1か月健診を過ぎていても、相談していい。体のつらさも気分の落ち込みも、我慢しない(【ポイント2】) |
| 何を食べればいいか知りたい | 肉・魚・豆・青菜を組み合わせ、ビタミンCを添える(【ポイント3】のSTEP2) |
| 鉄の薬がつらい、やめてしまった | やめたままにせず、飲み方や薬の種類を相談する(【ポイント3】のSTEP3) |
| ご家族のことが気になる | 10代の娘さんの疲れや生理の量に、目を向ける。閉経したあとの女性や男性の貧血は、胃や腸の確認が大切(【ポイント1】【ポイント2】) |
生理の量が多い原因のひとつ、子宮筋腫については、日本産科婦人科学会の解説が参考になります。
鉄や貧血についての情報は、ネットにあふれています。迷ったときの見分け方を、図にまとめました。
flowchart TD
A["鉄や貧血の情報に
出会ったら"] --> B["数字を言い切って
いないか"]
B --> C["◯以上が正常や
◯割が隠れ貧血と
断言している"]
B --> D["調査の年や
条件が書いてある"]
C --> E["出どころと条件を
確かめる"]
D --> F["参考にできる"]
E --> G["商品をすすめる
ための話では?"]
F --> H["気になることは
相談して確かめる"]
G --> H
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classDef ask fill:#E0F2FE,stroke:#0284C7,color:#0C4A6E,stroke-width:2px
classDef warn fill:#FFE4E6,stroke:#E11D48,color:#881337,stroke-width:2px
classDef good fill:#DCFCE7,stroke:#16A34A,color:#14532D,stroke-width:2px
classDef goal fill:#EDE9FE,stroke:#7C3AED,color:#4C1D95,stroke-width:2px
class A start
class B ask
class C,E,G warn
class D,F good
class H goal
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今日、ひとつだけやってみてください。
引き出しから健診の結果を出して、「ヘモグロビン」か「血色素量」の欄を探す。3分で終わります。数字を見つけたら、スマホで写真を撮っておいてください。その1枚が、相談への道をひらいてくれます。
写真を撮ったら、数字に合わせて次の一歩へ進みましょう。
- 基準より低い、あるいは「要再検査」と書かれていた:できれば今日のうちに、受診の予約まで進める
- 基準の範囲内でも、疲れが続く、生理の量が多い、産後である:その写真を持って、相談してみる
- ヘモグロビンの欄が見当たらない:貧血の検査を受けていないのかもしれない。気になる症状があれば、相談のときにそのことも伝える
産後の方は、出産した施設で受けた検査の結果がわかるものでもかまいません。
この記事が役に立ったと感じたら、身近な人にも教えてあげてください。
- いつも疲れた顔をしている友人
- 生理がつらそうな同僚
- 産後まもないお姉さんや妹さん
「健診は異常なしだったんだけどね」と話す人がいたら、この記事を思い出してもらえるとうれしいです。パートナーに読んでもらえば、あなたの疲れが「気合いの問題」ではないことを、わかってもらいやすくなります。
女性の体は、生理、妊娠、出産と、鉄をたくさん使いながら毎日動いています。足りなくなるのは、あなたが弱いからでも、がんばりが足りないからでもありません。
「その疲れ、鉄不足かも」。そう気づけたことが、元気への第一歩です。

https://youtu.be/plwnBdGmEAQ